中国古典 | 韓非子の名言
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 明主の其の臣を導制する所は二柄のみ

 二つの柄とは、刑と徳です。では刑徳とは何か。
刑とは罰を加えること、徳をは賞を与えることだ。

部下というのは、罰を恐れ賞を喜ぶのがつねである。
だから罰と賞の二つの権限を握っていれば、
ふるえあがらせたり、てなずけたりして、
思いのままにあやつることができる。

 

 小利を顧みるは則ち大利の残なり

 目先の利益にとらわれると、大きな利益を失ってしまう。

目先の利益にとらわれると、ついつい大局を見失ってしまう。

目の前においしいニンジンをちらつかされると、
それに目を奪われて、つい走らされてしまうのは、
なにも馬ばかりではない。

 知の難きに非ず、知に処するは則ち難し

 いくら正しい意見でも、自分の置かれた立場、
状況を考慮に入れずに発言するなら、かえって自分の身を危うくする。
情報はその使い方、生かし方が大切なのです。

 正しいと思った意見を進言した重臣が、
その意見に激しい怒りを覚えた王に処刑されたが、
その意見を取り入れなかったがために他国から攻略されてしまった。
という、よくある話で、発言には十分に考慮せよとの戒めの言葉。

 遠水は近火を救わず

 遠くにあるものでは急場の役に立たないということの譬えです。

 これを日本風にいえば、
「遠い親戚より近くの他人」というところだろうか。

 困ったときに役立つのは、身近なところにいる相談相手のはずです。

 功詐は拙誠に如かず

 「功詐」とは、巧みに表面をとりつくろうようなやり方のこと。
一時的にはすばらしい策のようにみえるが、
長い間にはかえって周囲の反発買う危険性が高い。

「拙誠」とは、つたなくても心のこもったやり方のことで、
愚直かもしれないが、 のちには多くの人の心をつかむことができる。

 つまり、巧みに人を騙すようなやり方よりは、
たとえつたなくても誠実に対応していくほうが、
長い目で見るとはるかに優っているというのです。

 

 戦陣の間は、詐偽を厭わず

戦争の手段にきれいも汚いもない。
要は、ありとあらゆる手段をつくして相手を騙し欺き、
最終的には勝利をものにすることだと『韓非子』は説いている。

謀略やペテンは、それを仕掛ける側が悪いというよりは、
その罠にかかるほうが甘いのです。

 株を守るの類なり

 そうの国のある農民が野良に出て働いていると、目の前に兎が飛んできて、 偶然そこにあった切り株に頭をぶつけて死んでしまった。
その農民は、労せずして兎を手に入れたわけです。
これはもうかった、いいことを知ったと、その日以降スキを放り出し、
連日株の前でじっと兎がやって来るのを待っていたが、
いつまでたっても兎はやってこなかった。
結局彼は、国じゅうの笑い者になったという。

二度、三度と同じことを期待して、 融通がきかず、
変化に対応できないことの愚かさを指摘しているのです。

 

 人を恃むは自ら恃むに如かず

 人の力をあてにするより、自分の力をたのめという意味です。

頼りにならない者を恃んでしまうことほどまずいことはあるまい。
そうでなくとも、人を恃むということは、
どうしても当たり外れがありがちなものだ。

自分を頼りにすれば、かりに失敗したときでも諦めがつく。

 

 千丈の隄も螻蟻の穴を以って潰ゆ

 日本の、「上手の手から水が漏れる」という諺と同じような意味。

大事を成そうとする者は、
どんな些細なことでも見逃さないで早め早めに手をうち、
災いを未然に防がなければならない。
本当にどうでもいいような些事と、将来の大事につながる些事とがある。

大切なのは、
将来の大事につながることと、どうでもいいことの見極めです。

 

其の復ふたたびすべからずを為にせば、則ち事敗るること寡なし

修正がきかない部分を念入りに行えば、めったに失敗はしないものだ。

これをいまふうにいえば、 物事を始めるときはまず、
しっかりとフォローできる態勢をつくっておけということだろう。

そして、とりわけフォローの難しい部分、
すなわち一発勝負のところには、慎重さが必要ということです。

 事は密なるを以って成り、語は泄るるを以って敗る

 計画を成功させるためには、秘密のうちに事を運ばなければならない。
外部に漏れてしまえば失敗する。という意味です。

要するに、口にはくれぐれも注意せよということです。
嫌疑がかかって身を危うくするのは自分なのだという。

『韓非子』は、
人間というものは本来信用のできないものだとする
性悪説に立っているので、このあたりの観察は実に厳しい。

 

 聖人の治は民に蔵して府庫に蔵せず

 政治の重要な目標は、軍備の強化ではなく、
国民の生活の安定ををはかることです。
そうすれば、国民の支持もおのずから集まってくるにちがいない。

 軍事費の突出や役人の無駄使いをとがめないで、
国民から税金を吸い上げるだけでは、
とうてい国民の支持を得ることはできない。

どこかの総理大臣にじっくり味わって欲しい言葉です。

 

 利の在る所、則ち其の悪む所を忘れ、皆孟賁となる

 利益があるとなれば、誰でも怖さを忘れて勇者に変身するのだという。

 たとえば、「信頼していた部下に裏切られた」といった話をよく聞く。

そんな場合、決まって利害関係の対立がからんでいて、
相手はたんに利益のあるほうになびいたにすぎないのです。

 

 倹を以ってこれを得、奢を以ってこれを失う

「自ら節倹につとめたことによって国内の支持を得、
贅沢にふけったことによって国を失った」という。

あえて節倹につとめなくてもすばらしい政治を行った君主はいた。
が、贅沢にふけった君主で国を失わなかった者はいないといってよい。

一度贅沢の味をおぼえるとどんどんエスカレートし、
やがては国民の支持まで失ってしまうのです。

 

 聖人は微を見て以って萌を知り、端を見て以って末を知る

「優れた人物は、かすかな微侯を見ただけで物事の動きを察知し、
わずかな手がかりを得ただけで物事の顛末を予見する」というのです。

 国を滅ぼしたいんちゅう王がはじめて象牙の箸をつくったとき、
重臣の子は 「ひとつ贅沢な物を持つと、次々に、
それに見合う贅沢品を求めるようになる。」と、ひそかに恐れた。

 この箕子の心配がやがて現実のものとなって、
紂王は国まで滅ぼしてしまうのです。
 
明主めいしゅの其のしん導制どうせいするところ二柄にへいのみ
小利しょうりかえりみるはすなわ大利だいりざんなり
かたきにあらず、しょするはすなわかた
遠水えんすい近火きんかすくわず
こうせつせいかず
戦陣せんじんかんは、詐偽さぎいとわず
かぶまもるのたぐいなり
ひとたのむはみずかたのむにかず
千丈せんじょうつつみ螻蟻ろうぎあなってつい
其のふたたびすべからずをためにせば、すなわ事敗ことやぶるることすくな
ことみつなるをってり、るるをってやぶ
聖人せいじんたみぞうして府庫ふこぞうせず
ところすなわち其のにくところわすれ、皆孟賁みなもうほんとなる
けんってこれをしゃってこれをうしな
聖人せいじんってほうり、たんってすえ

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