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老子について
厳しい時代をしぶとく生きる知恵
自分を誇示せず人に呑まれず──しぶとく生きるためには何が必要か

  『老子』という古典は、ある意味で極めて中国的な本です。
  中国の歴史は、ひと口でいって戦乱の歴史であったが、
中国の民衆はそういう厳しい時代をしぶとく生き抜いてきたのです。
それだけに、彼らは生き残りの知恵の様なものをたっぷりと蓄えてきた。
そういう知恵が編集されているのが、『老子』だといってよい。

 『老子』は、別名『 道徳経 』とも呼ばれてきた。 そのことから知られるように、その主張の核心は、「道」と「徳」の二本の柱から成っている。
  『老子』によれば、万物の根源に、万物を万物として成り立たせている、 ある存在があるのだという。それが「道」です。
  「道」はとしかいいようのない存在だが、
それがあることによってはじめて万物が生み出され、
万物が万物として機能することができる。
しかも、「道」はそれほど大きな働きをしながらいささかも自己を誇示することなく、 いつもしんと静まりかえっている。
  その「道」を認識し、体得することによって、われわれも「道」のもっているすばらしい属性を身につけることができる、 と『老子』は考えた。それがすなわち『老子』のいう「徳」にほかならない。
  ちなみに『老子』のいう「徳」とは、無心、無欲、柔軟、謙虚、素朴、控え目などから成っている。 これらの「徳」を身につければ、どんな厳しい時代でもしぶとく生き抜いていくことができるのだという。
  『老子』の底を流れているのは、ひと言でいえば弱者の思想です。
社会的弱者の立場から激動する現実を凝視し、
「道」を発見することによって弱者の立場に居直り、
そこから、現実を生きる英知を引き出してきたのだ。
  しかも『老子』の関心は多岐にわたり、さまざまな分野から眼前に展開する現実を非難してやまない。 だから、たんに処世指南の書であるばかりでなく、文明や政治、軍事の分野についても鋭い指摘がなされている。

 『老子』の作者は、孔子のやや先輩に当たる「老たん」という人物だとされるが、 伝説のベールにつつまれていて確かなことはわからない。
おそらく特定の個人によって書かれたというよりも、
春秋から戦国の激動期にかけて草の根に生きた、 不特定多数の人々によってまとめられたものであろう。
 ※守屋 洋著 中国古典「一日一話」より引用

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