中国古典 | 三国志の名言
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 烈士暮年、壮心巳まず

 男らしい男は晩年になっても旺盛なチャレンジ精神を失わない。
 「烈士」とは、男らしい男。
 「暮年」は晩年と同じ。
 「壮心」とは若々しい心。

 これは、曹操という人が詠んだ詩の一節です。
彼は小説『三国志』では、悪玉にされているが、
実は「文武両道」に秀で、優れた詩人の一面もあり、
すばらしい詩をいくつも残している。
この詩は、曹操自身が「こうありたい」と願っての一句であろう。
 

 時務を識るは俊傑に在り

 今がどういう時代なのかしっかりとつかみ、
何をなすべきか知っているのが俊傑である――。
俊傑とは才知などが常人よりすぐれている人物をいう。

 今現在、何を具体的にどうするのか、
それをきちんと出せることが「時務を識る」ということです。

 時代の俊傑であるためには、具体論が出せるだけの洞察力と企画力、
人より高感度のアンテナが必要なことは、いうまでもない。

 天の与うるを取らざれば、悔ゆとも追うべからず

 天が与えたものを受け取らないと、あとで後悔しても間に合わない、
絶好のチャンスを逃がすべきでない。

 長い人生には、どんな人にも何回かのチャンスが巡ってくる。
その、天が与えてくれたチャンスを遠慮して逃がしてしまうようでは、
大した仕事はできない。

 運も実力のうち、といわれる。
せっかくのチャンスを生かせるかどうか、
やはり日ごろ培っているその人の器量次第なのです。

 

 これ賢これ徳、能く人を服す

 賢と徳、この二字が人を動かす。
「賢」とは聡明さ、「徳」とは人徳で、
これがなければ人の上に立って人を動かすことはできない。

徳というのは、寛容、謙虚、思いやり、相手に対する信頼などを
身につけ、人間的魅力を備えることをいう。

 鞠躬尽力、死して後巳まん

「鞠躬尽力」とは、
 上の者の命令を承って一生懸命に仕事をするという意味。

 リーダーが先頭に立って鞠躬尽力すれば、
部下もその気になって頑張らざるを得ない。

粉骨砕身、率先垂範もまたリーダーの重要な条件のひとつです。

 周恩来が亡くなったとき、
中国の人々が彼にこの言葉「鞠躬尽力」を贈り、
最大限にその功績を称えた、という。

 用兵の道は、心を攻むるを上となし、城を攻むるを下となす

 実際に戦火を交えるより、
相手を心服させて支持を勝ち取るほうが、
はるかに戦略として優っている。

 力で押さえ込むだけでは人間は動かない。

 これは用兵の道だけではなく、
たとえば管理職と部下との関係にもいえるのではないか。
管理することはもちろん必要だが、それ以上に、
部下が喜んで仕事をしてくれるような、そんな環境づくりが望まれる。

 治世は大徳以ってし、小恵以ってせず

 「大徳」とは大きな思いやりであって、政治の根本といってよい。
 「小恵」とは小さな恩恵です。

 やたら小さな恩恵を施して、
国民の歓心を買うことばかり考えていたらどうなるか。
政治は必ず行き詰ってしまう。
 そうではなくて、
国民の生活が成り立つように根本のところを配慮してやる。
それが「大徳」にほかならない。

 

 寧静に非ざれば、以って遠きを致すなし

 心を落ち着けて自分を磨かなかったら、
将来、大きな仕事を成し遂げることはできない。

「寧静」とは、静かに落ち着いているということ。

これは、
諸葛孔明が彼の一人息子、せんに宛てた遺書の一節。

 

 喜怒を色に形さず

 喜怒哀楽を顔に出してはいけない。

 喜怒哀楽を顔に出さないのはリーダーのたしなみのひとつです。

ピンチに涼しい顔をしているだけの演技力が要求されるのです。
ピンチに取り乱したのでは、
はじめからリーダー失格といわざるをえない。

 

 材を授くるに各其の器に因り、情を矯めて算に任せ、旧悪を念わず

 人材登用にあたっては、
それぞれの能力に応じ、私情を抑えて合理的に行い、
過去は全く問わない。

人材を集める際は、能力さえあれば前歴のいかんを問わずに迎え入れろ。
つまり、徹底した能力主義を推している。

『三国志』を編纂した陳寿が、魏の曹操そうそうについて評した言葉です。

 危うきに乗じて以って倖を徼む

 幸運を期待して危険を犯してはならない。

 「倖」は幸運という意味。
 「徼」は「もとめる」という意味。

 自己満足な希望的観測の幸運に頼って
まわりの反対を押し切ってまで
危険なことに挑んではならない、との戒め。

つまり、幸運に期待するような戦い方は下策だとうことです。

 将たるものはまさに怯弱の時あるべし。但に勇を恃むべからず

 不利な戦いをせざるをえないときは、
いたずらに勇にはやってはならない。

 「怯弱」とは、臆病で弱いこと。
不利だと見たときの撤退の見切りどきを早め、
決して無理をしない。

勇猛な戦いの裏には冷静沈着な計算が必要だということです。

 智は禍を免るるを貴ぶ

 智の重要な働きは禍を免れることにある。

 もつれた問題は、それだけ解決が難しくなる。
問題が大きくなる前に、ボヤの段階で消しとめる。それが大切なのです。

 譬えていえば、倒産会社を立て直すより、
会社を倒産の危機に至らしめない経営をすることのほうが、
より深い智であるといえる。本物の智には深い読みが求められるが、
ありようとしては極めて地味なものかもしれない。

 その長ずるとろを貴び、その短なる所を忘れる

 相手の長所をほめ、短所には目をつぶる。

 一般に人間というものは、
短所を指摘されるより長所をほめられるほうが、
仕事に対してやる気が出てくるし、向上心も出てくる。

 逆に短所ばかりあげつらわれると、くさったり萎縮したりして、
伸びる能力まで伸びなくなってしまう。

 呉下の阿蒙に非ず

 「呉下の阿蒙」とは、
いつまで経っても進歩しない人のことを指す言葉。

 基本的には悪い意味合いで使われているが、
あとに「~にあらず」を付け加え、
よく進歩する人という意味に変えて、褒め言葉としている。

「阿」は「~ちゃん」といった感じの意で、「蒙」は道理に暗いの意。
したがって、「おバカな蒙ちゃん」という意味を表している。
 
烈士暮年れっしぼねん壮心巳そうしんやまず
時務じむるは俊傑しゅんけつに在り
天の与うるを取らざれば、ゆとも追うべからず
これけんこれ徳、く人を服す
鞠躬きっきゅう尽力じんりょく、死して後巳のちやまん
用兵の道は、心を攻むるを上となし、城を攻むるを下となす
治世ちせい大徳たいとくってし、小恵しょうけいってせず
寧静ねいせいあらざれば、以って遠きを致すなし
喜怒を色にあらさず
材をさずくるにおのおの其のうつわり、情をめてさんまかせ、旧悪をおもわず
あやうきにじょうじてってこうもと
将たるものはまさに怯弱きょうじゃくの時あるべし。ただに勇をたのむべからず
智はわざわいまぬかるるをたっと
その長ずるとろを貴び、その短なる所を忘れる
呉下ごか阿蒙あもうあら
 ※守屋 洋著 中国古典「一日一話」より引用

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